スティフネス という言葉聞いた事ありますか?

なかなか聞きなれない言葉ですが、運動をする女性は知っていた方が良い言葉です。なぜ女性の方が知っておいた方がいいのか、スティフネスとはどういった意味なのか見ていきましょう。

スティフネス とはいったい何?

スティフネスとは一定の力を受けた時に、負荷を受けた筋肉が伸びようとする力に対する抵抗力のことです。

例えば、連続的なジャンプを行なっているとします。
着地して再びジャンプをしようとしゃがんで踏み込んでいる瞬間、筋肉は着地の負荷を受けながら伸びる動きをします。このような伸張に対する抵抗力をスティフネスと言います。

簡単にいうと、筋肉がビヨーンと伸びるのに抵抗し、止めようとする力といったところでしょうか?

伸長に対する抵抗力

大切なのは下半身のスティフネス

動きの中で重要になるのが下肢のスティフネスです。

下半身の筋肉はジャンプしたり反復横跳びのような動きをしたりと、関節が曲がりながら、筋肉が伸びながら力を受ける動きが多いからです。

ゴムが引き延ばされた後に一気に縮むように、筋肉が素早く伸ばされた直後に、収縮させて力を発揮することを「ストレッチショートニングサイクル」と呼びます。下肢のスティフネスの弱いと軟骨や靭帯を怪我するリスクを高めると言われています。

スティフネスが弱いと怪我の原因

なぜ女性のスティフネスが大切なの?

男性と女性とでは、ジャンプや反復横跳びなどを行う際に、大きな違い出るという研究結果が出ているからです。

筋の動員に関しては、両脚ホップにおいて女性は男性より、大腿四頭筋の活動が46%、ヒラメ筋の活動が37%大きく、大腿四頭筋とハムストリングスの同時活動比も高い値を示した。

Padua DA, Carcia CR, Arnold BL, and Granata KP. Gender differences in leg stiffness and stiffness recruitment strategy during two legged hopping. J Mot Behav 37: 111-125, 2005.

女性はジャンプして着地の直前や直後に、大腿四頭筋(太もも前)とハムストリング(太もも後ろ)の筋肉の同時に使われる割合が高く、太もも前の筋肉活動が46%大きかったという研究結果が出ています。

太もも前が使われやすい

さらに別の研究では、女性は接地直後に大腿四頭筋(太もも前)の活動の最大振幅値が、ハムストリングス(太もも後ろ)の活動の最大振幅値を約4倍上回り、同一時間内に男性が示した値の2倍を記録したという報告もあります。

どういう事かと言うと、女性はジャンプの着地の瞬間、大腿四頭筋(太もも前)がメインで使われており、ハムストリングス(太もも後ろ)を効果的に利用できていないと言う事です。

太もも前が使われると何が良くないの?

アスリートなどが前十字靭帯を断裂したというニュースなどを見たことがある方もいらっしゃるかと思います。この前十字靭帯の損傷というのは、女性の方が確率的に多いと言われています。

先に述べたように、女性はジャンプの着地など筋肉が伸びながら力を発揮する際に、大腿四頭筋(太もも前)をメインで行われやすいからです。

女性は膝の怪我が多い

大腿四頭筋(太もも前)が使われるとスネの骨が前に出ようとし、これに伴って前十字靭帯が引き伸ばされます。この時、ハムストリングス(太もも後ろ)も使われていればスネの骨を引き戻してくれて、前十字靭帯の引き伸ばしが抑えられます。

しかし、女性はハムストリングスがうまく使われづらい為、前十字靭帯を損傷しやすくなってしまいます。下半身のスティフネスを高めるトレーニング大切です。

スティフネスを高める

スティフネスを高めるにはどうしたらいいの?

スティフネスを高めるためには腱や筋肉をトレーニングする事が大切です。

ジャンプ動作などの「プライオメトリクストレーニング」というトレーニングが膝の怪我を予防するのに効果的ですが、行う前に筋力トレーニングを最低でも8週間実施する必要があります。8週間という期間を示した研究では、筋力トレーニングを最低8週間行わないと腱のスティフネスが向上しないことが示されています。

8週間のうち、前半4週間は筋肉をつける事を目的とした(10回ギリギリのウエイトで×3セット)
後半4週間は筋力向上を目的とした(6レップ×3セットを85%1RM以上)で行う事が効果的です。

8週間トレーニングプラン

スティフネスを高めるトレーニングプログラム

8週間プランではウエイトを変える必要がありますが、紹介するプログラムはウエイトを使わず自宅で行えるメニューを紹介します。筋力トレーニングの種目とプライオメトリクストレーニング種目(ジャンプ種目)どちらも紹介しますが、プライオメトリクストレーニングは筋力トレーニング種目を8週間行ってからがオススメです。

太もも前の「筋膜リリース」

トレーニングを行う前に、使われやすい大腿四頭筋(太もも前)のほぐしから行う事で、膝への負担を軽減させられます。

太もも前のほぐし

太もも前をフォームローラーに当てて前後に動かします。痛みが強い部位は止まってから膝の曲げ伸ばしを行いましょう。ほぐれて動きやすさを感じるまで行ってみてください。

下半身全体を使う「スクワット」

スクワット

膝中心の動きにならないよう、椅子に腰掛けるようにお尻を引いて下りるようにしてみましょう。カカト重心ではなく足裏全体で踏み込めるように、上体を倒して股関節を使うように意識しましょう。

前後に足を開く「ランジ」

ランジ

両膝を曲げて下におりますが、股関節を折りたたむ意識も持つようにしましょう。また、膝が内側に入ることも怪我の原因になりますので、膝とつま先は同じ向きになるように確認しながら行います。

股関節を意識「グッドモーニングエクササイズ」

両手をバンザイし股関節から上体を倒していきます。指先からお尻まで真っ直ぐな姿勢を意識しましょう。ハムストリングス(太もも後ろ)にストレッチを感じると効果的です。

グッドモーニングエクササイズ

ジャンプトレーニング「プライオメトリクストレーニング」

ストレッチショートニングサイクルを利用した、筋肉を素早く伸びながら力を発揮した後、素早く収縮させるトレーニング方法です。スティフネスの強化だけでなく、着地の際の関節連動性などをコントロールします。

カウンタームーブメントジャンプ

スクワットジャンプ

膝だけの動きにならないよう、お尻を後ろに引き上体を倒し股関節を曲げて着地します。膝がうちに入らないように注意してください。

ランジジャンプ

ランジジャンプ

ランジの姿勢から足を交互に入れ替えてジャンプを行います。通常のランジトレーニングが慣れてきてから行うようにしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
アスリートだけでなく、趣味で身体を動かされている方でも、大腿四頭筋ばかり辛くなってくるという女性は少なくないと思います。
それに伴い、前十字靭帯の傷害リスクも高くなってしまいます。
ハムストリンググスの筋力と腱のスティフネスを向上させ、正しく下半身のスティフネスを動員させて、安全に楽しく運動していきたいですね。

LIBONAでは特に女性のトレーニングにおいて、ハムストリングや臀筋を上手に使えるように身体の動かし方から指導しております。

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