トレーニングでスクワットされる方はとても多いと思いますが、テクニックについて一致した見解はあまりありません。

どのようなスクワットが自分にとって最適なのか、そして、どのようなテクニックがどのような影響を及ぼすのでしょうか。今回はスクワットについて細かくご紹介していこうと思います。

スクワットとは?

一般的にトレーニングで多くの方が行っているスクワットは、自重のスクワットか、バックスクワットと呼ばれるスクワットのどちらかです。
スクワットのやり方のご紹介やどの筋肉を使っているのかなどについては、以前書いた記事がありますので、こちらをご覧ください。

バックスクワットは、スクワットと聞くと想像するスクワットのやり方です。パフォーマンス向上やボディメイキングのためのトレーニングから、リハビリテーションに至るまで多くのシーンで取り入れられています。

バックスクワットの最大筋力は、様々な競技動作のパフォーマンスと強く相関している。

Comfort P, Bullok N, Pearson SJ. A comparison of maximal squat strength and 5-, 10-, and 20-meter sprint times, in athletes and recreationally trained men.他

しかし、スクワットの怪我のリスクを軽くする、または特定の筋肉や筋力強化にさせると言う考えから、様々なテクニック(フットポジションやスタンス幅、しゃがみ込む深さなど)を用いており、バックスクワットの最適なテクニックについては10年以上にわたって一致した見解が存在しません。

怪我のリスクを最小限に抑え、パフォーマンス向上やボディケイクに最適なのスクワットとは一体どのようなものなのでしょうか?

今回はバックスクワットに焦点を当て、説明していきます。

スクワットは膝を前に出さないで!それってどうなの?

スクワットのフォームとして「膝を前に出さないように」という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。これは本当にやってはいけいないのでしょうか。

膝を前に出すと「 剪断力 」という膝にかかる負担が大きくなると言われています。

この剪断力は膝の曲がる程に大きくなりますが、バックスクワットでは前十字靭帯に過度な張力はかからないことが研究で明らかになっています。

後十字靭帯についても同様の結果が見られますが、バックスクワットで後十字靭帯にかかる力は、他のOKCの種目より小さいとはいえ、膝の屈曲角度が増大するにつれて、つまりスクワットが深くなるにつれてその力は大きくなります。

しかし、膝がつま先より前に出ないように膝の前方移動を制限すると、膝関節にかかる捻れの力がやや減少(約22%)しますが、股関節にかかる捻れの力が大幅に増大する(1,000%以上)ことが明らかになっています。膝の前にでないようにしたスクワットでは、上体が大きく前に倒れ、それによって腰にかかる負担が増大したという研究結果もあります。

つまり、膝にかかる力をわずかに軽減させるために膝を前にださないようにすると、股関節と腰にかかる負担が大幅に増します。膝が前にでないようにと動きを制限しない方が良いと言えるでしょう。

スクワットは上体を倒したほうがいいの?

スクワットをしていて上体がどんどん前に倒れてしまうと、しっかりとした深さまで下がれなかったり、腰にかかる負担が大きくなってしまいます。

「膝を前に出さないように」と意識せずに、上体が前に倒れてしまうのは「足首」に原因があります。

体幹の前屈と負の相関関係にあるため、足関節の背屈角度が増大すると体幹の前屈角度が減少する。

Fuglsang EI, Telling AS, SA rensen H. Effect of ankle mobility and segment ratios on trunk lean in the barbell back squat.

足首が硬いと、それを補うために上体を倒して深く降りようとします。

足首(腓腹筋とヒラメ筋)のストレッチをスクワットのセット間に実施すると、足首の曲がり(背屈)が良くなり、上体の倒れが少なくなることが明らかになっています。

しかし、使う筋肉のストレッチはわずかなレベルでありますが、筋肉の力発揮に影響を及ぼすと言われています。

足首の可動域に制限があり、明らかに過剰な上体の倒れが起きてしまう場合、スクワットのセット間に下半身のストレッチを実施することが効果的です。わずかでも力発揮の一時的な変化を避けるために、アスリートの方はオフシーズンに組み込むのが良いでしょう。

また、ウエイトリフティングシューズを履いたり、かかとの下に何か入れた状態でスクワットをすると、足首が伸びた(底屈させた)状態からスクワットを開始できるため、結果的に足首の曲がりが良くなり、上体の倒れが少なくなります。

そして、頭の位置も体幹部のポジションに影響を及ぼすということが分かっています。
目線を下に向けた場合には股関節と上体の曲がりが増えるのに対し、目線を前方または上に向けた場合は上体がより直立します。
つまり足首の硬さがない場合、上体の倒しを減らすためには、目線は常に前へ向けることが大切だと言えるでしょう。

関節に痛みがある場合はどうしたらいいの?

痛みがあるけれどもトレーニングとしてスクワットはしなければならない。
一般の方ではなかなかそういった状況はないかもしれませんが、アスリートの方などは日常的に起こりうる状況です。

もし膝蓋大腿関節や脛骨大腿関節に痛みがある場合は、スクワットの深さを浅めに行う方が良いでしょう。
バックスクワットの深さはそのままで負荷を軽くしても、膝にかかる負担をその分減らすことはできません。
スクワットの深さによってかかる膝への負担は、膝の屈曲角度によって減らす事でしかできないです。

大腿四頭筋の硬さや過度な収縮によって、膝蓋骨の移動によって痛みを感じている場合は、後述にもありますが臀筋の筋発揮を高め、大腿四頭筋への負担を減らしたり、ほぐすなどのケアを行うようにしましょう。

また、股関節インピンジメントによって痛みを感じている場合は、深いスクワットをするとより痛みを感じるかと思います。
そのため、痛みを生じない可動域内でのスクワットにし、脚部を外転、足部の外旋を意識し、行うと良いでしょう。
股関節のインピンジメントについては下記の記事をごらんください。

筋肉の活性化につながるスクワットとは?

スクワットの深さによる影響

筋電図を使った研究では、スクワットの深さが増していくと大臀筋の関与が増していくと明らかになっています。
一方、内側広筋についても、スクワットが深くなるにつれて関与が増していくことが示唆されています。
膝関節伸展筋の活動は、スクワットが深くなるにつれて増大するのに対し、股関節伸展筋群の活動はスクワットの深さと挙上負荷のどちらが増しても増大します。
また、大腿四頭筋の活動は、股関節を伸展させる各筋肉の関与率に左右されると最近の研究結果では報告されています。
つまり臀筋をいかに使えるかで大腿四頭筋への負担が減少するということです。
逆に臀筋の関与を減らすと、大腿四頭筋の活動が増えるのです。

足の向きとスタンス幅による影響

スクワットにおける足部の回旋の程度(ニュートラル、30〜40°の内旋、または80°の外旋など)は、しゃがみ込む深さやスタンス幅(肩幅の75〜140%)がどうであれ、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、長内転筋、半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋の筋活動には目立った影響を及ぼさないことが分かっています。
足部の外旋角度が大きくなると股関節の外旋も増大しますが、これは大腿四頭筋の活動には影響を及ぼさない一方で、股関節内転筋の活動を増大させます。
また足部を外旋させると、より深いスクワットが可能になると考えらえます。

スタンス幅の変化は、大腿四頭筋の動員には影響を及ぼしませんが、広いスタンスをとると、長内転筋(肩幅以上のスタンス)や臀筋群の活動は増大します。

つまり、スタンス幅や足の向きは大腿四頭筋では無く、内転筋や臀筋群の活動を増大させたい場合に変化が必要になります。

まとめ

以上の事から考えると、傷害リスクを最小限に抑え、下肢の筋群を最大限に活動させる上で最も適切なスクワットテクニックは、自然なスタンス幅と足の向きにセットし、膝の移動を制限せず(かかとは床につけたままにする)、目線は前方か少し上方に向け、背骨のニュートラルポジションを保てる限りのフルの深さ(115~125°の膝屈曲)までしゃがみこむということになります。
そして、スクワットには下肢の適切なアライメントが必要不可欠であり、膝は常につま先の真上の位置を保持し、外反しないようにします。

臀筋群や内転筋の活動を増やしたい場合は、足部の外旋とスタンス幅を増大させて行うと良いでしょう。

皆さんが今まで行っていたスクワットは、ご自身に合ったスクワットになっていたでしょうか?
ぜひこのブログを参考にトレーニングに活かしていただければと思います。

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