トレーニングしてもなかなか筋肉がつかない
そんな方必見!

筋肉がつくためには体が「筋肉を付けろ!」というシグナルを出す事が大切です。トレーニング後や食事、睡眠時などにこのシグナルが出るのですが、アミノ酸の〇〇を飲むだけでこのシグナルが出るんです。

今回はこの筋合成のシグナルについてみていきましょう。

筋合成シグナルとは?

筋肉の合成を知るには「 mTORC1 」を知る必要があります。

多タンパク質複合体であるmTORC1は、たんぱく質やアミノ酸などが栄養豊富な状況では、タンパク質や脂質の合成、オートファジーと言った様々な成長や増殖を行います。

難しい言葉が並んでいますが、メカニズムはとても複雑で、まだ完全に解明されていない部分でもあります。

筋合成シグナルの最新研究発表

2016年にWolfsonおよびChantranuという研究者によってある発表がされました。

筋合成を起こす一連の流れが、アミノ酸の ロイシン によるものであると報告されました。今までアミノ酸による筋合成は不明だったのですが、この報告によりロイシンが筋合成の強いシグナルであると示唆されました。

2016年の報告なのでごく最近なのが分かります。

ロイシンとはBCAAに含まれているアミノ酸なので、手軽に摂る事ができるアミノ酸でもあります。

ロイシンはどれくらい摂ればいいの?

必須アミノ酸であるロイシンにより筋合成の強いシグナルが発生する事が分かりました。

強いシグナルがどの程度の量で発生するのかが分かれば、筋合成のシグナルを上手に利用出来ます。

このロイシンの摂取量によりどの程度違いがあるのかを、ホエイプロテインとロイシンの摂取量による影響を調べたchurchwardらの論文から見ていきましょう。

20~22歳の40人の男性が、片足でのレッグエクステンション後に
25gのホエイタンパク質
6.25gのホエイタンパク質
6.25gのホエイタンパク質+0.75gのロイシン
6.25gのホエイタンパク質+5gのロイシン
4つの摂取グループに分け、筋生検をおこなった。

筋タンパクの合成量を比較したところ、6.25gのホエイタンパク質群と6.25gのホエイタンパク質+0.75gのロイシン群と比較して、6.25gのホエイタンパク質+5gのロイシンの群が最大であった。

Leucine supplementation of a low-protein mixed macronutrient beverage enhances myofibrillar protein synthesis in young men

25gのホエイプロテイン群は筋合成率が高かく、少ないホエイプロテイン群、少ないロイシンと少ないホエイプロテイン群では筋合成率は低くなりました。

しかし、興味深い事に「6.25gのホエイタンパク質+5gのロイシン」少ないホエイプロテインと多いロイシン群では、25gのホエイプロテイン群よりも筋合成率が高くなったと報告されています。

今まで筋合成のシグナルを発生させるには多くのたんぱく質を摂取する必要がありましたが、上手にロイシンを利用する事で筋合成のシグナルを発生させられる新たな発見となりました。

たんぱく質の量よりもロイシンの量がシグナルには大切。

ロイシン摂取の注意点

ロイシンが筋合成のシグナルという事は、ロイシンだけを摂取するば筋合成を促し続けられるのか。
この事についての2014年Matsumoto氏らの研究を見てみましょう。

ロイシン摂取後、血漿ロイシン濃度は速やかに上昇し 30 分後にピークに達した。
血漿イソロイシン、バリン、メチオニン、チロシン濃度は有意に低下した。イソロイ シン摂取後の血漿イソロイシン濃度およびバリン摂取後の血漿バリン濃度も速やかに 上昇し 30-40 分後にピークに達し、その値はロイシン摂取後の血漿ロイシン濃度のピ ーク値よりはるかに高い値であった。しかし、血漿イソロイシンやバリン濃度の上昇 は、他のアミノ酸濃度には影響を与えなかった。これらの結果は、血漿中のロイシン が BCAA、メチオニン、芳香族アミノ酸の調節因子であることを示唆する。

Bolus ingestion of individual branched-chain amino acids alters plasma amino acid profiles in young healthy men

引用には入れていませんが、ロイシンの血中濃度は53mg/kg BWで最大値を迎えたとありますので、摂取量としては体重×53mgが適切量だとされています。

肝心なのは、ロイシン単体での摂取によりバリン・イソロイシンをはじめとする、他のアミノ酸の血中濃度が減少する点です。筋合成に必要な他のアミノ酸が不足するため、他のアミノ酸と共に摂取する、もしくはホエイプロテインと共に摂取する必要があります。

オススメとしてはEAAにロイシンを添加する、プロテインを飲むときに適切量ロイシンを混ぜる、アミノ酸スコアの高い食事と共に摂取しましょう。

アミノ酸スコアについてはこちらの記事をご覧ください。

筋肉が付きづらい方へのロイシン

多くのたんぱく質を摂取出来て、簡単に体重を増やせる方はたんぱく質の摂取を心がけるだけで、筋肉量の増加を図れる事でしょう。

しかし、食の細い方や高齢者の方など、多くのたんぱく質を摂取できない、もしくは筋合成のシグナルの弱い同化抵抗性のある場合など、たんぱく質摂取量を増やすのは困難です。

特に高齢者においては筋合成の最大反応を得るには若年層よりも多くのたんぱく質が必要となります。
2008年Houstonらの研究によると、およそ1.7倍の開きがあるので、高齢者ほど筋合成の最大反応を得るにはより多くのたんぱく質が必要となります。

食の細い方や高齢者の方でも、ロイシンを活用する事で少ないたんぱく質量でも筋合成を最大化出来る事は、筋量アップのための新たな可能性を見出せる事だと思います。

加齢による筋肉減少にもロイシン

加齢により筋肉量が減少し、筋量や筋力・筋機能の低下をサルコペニアと言います。
サルコペニアが生じ、転倒による怪我や活動量の低下による虚弱など、死亡リスクの増加が高齢化に伴い問題となっています。

この問題に対し、エクササイズとロイシンを含めたサプリメントや高たんぱく食が解決の大きな鍵となりそうです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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