股関節は体幹部と下肢のつなぎ目です。
下半身の力を上半身に伝えるためには股関節が安定していなければなりません。

また股関節の構造や位置関係を知る事は姿勢や腰痛の原因を理解する上でも非常に重要です。

股関節の構造

股関節は骨盤の寛骨という骨と大腿骨(ももの骨)から出来ています。
肩関節と同じように色々な方向に動かすことが出来る球関節という関節で、肩関節に比べ関節の受け皿が深いので臼状関節と呼ばれます。
肩関節の構造はこちらをどうぞ。

骨盤は仙骨と尾骨という背骨の土台部分と、それをはさむ左右の寛骨から出来ています。
この寛骨と仙骨のつなぎ目が仙腸関節と呼ばれます。

この寛骨は上部の腸骨、後下部の坐骨、前下部の恥骨の3つの骨で出来ています。
この3骨は16~17歳ぐらいまで軟骨でつながっていますが、成人になると1個の骨になります。




①骨盤(右の寛骨、仙、尾骨 正面)
②股関節(右大腿骨、右寛骨 正面)
この図のように股関節と仙骨(背骨)の位置は近いため、股関節の影響で腰回りに痛みや、違和感が出てしまったり、逆に仙腸関節の動きの不調のせいで股関節に負担をかけてしまう事もあります。

股関節の筋肉

股関節を構成する大腿骨と寛骨にはお尻周りの筋肉だけではなく腰や膝の筋肉など
様々な筋肉がつきます、
代表的なものに

寛骨~大腿骨に付着する筋肉
・腸骨筋(ももを前に曲げる)
・大殿筋(ももを後ろに伸ばす、)
・中殿筋(ももを外にひらく)
・小殿筋(ももを外にひらく)
・大腿筋膜張筋(ももを前に曲げる、膝を伸ばす)
・梨状筋(ももを外に捻る)
・内閉鎖筋(ももを外に捻る)
・双子筋(ももを外に捻る)
・大腿方形筋(ももを外に捻る)
・縫工筋(ももを前に曲げる、外にひらく、外に捻る、膝を曲げる、内に捻る)※あぐらをするような動き
・大腿直筋(ももを前に曲げる、膝を伸ばす)
・恥骨筋(ももを前に曲げる、ももを閉じる)
・長内転筋(ももを閉じる)
・短内転筋(ももを閉じる)
・大内転筋(ももを閉じる)
・薄筋(ももを閉じる、膝を曲げる)
・外閉鎖筋(ももを閉じる、外に捻る)
・大腿二頭筋(ももを後ろに伸ばす、膝を曲げる、外に捻る)
・半腱様筋(ももを後ろに伸ばす、膝を曲げる、内に捻る)
・半膜様筋(ももを後ろに伸ばす、膝を曲げる、内に捻る)

があります。
寛骨は仙腸関節で仙骨(背骨)とつながっているため、上記の筋肉は姿勢にも大きく関係してきます。

例えば腸骨筋は大腿骨の小転子とよばれる部分と腸骨窩という寛骨の内側を走る筋肉ですが、同じ小転子から腰椎(腰の背骨)まで走る大腰筋と合わせて腸腰筋と呼ばれます。

この腸腰筋は股関節を前に曲げる働きをしますが、股関節を固定した場合は上半身を前にひっぱる作用があるので、この筋肉が固くなってしまったり、短縮してしまうと反り腰のような姿勢を作ってしまう原因にもなります。

他にも大腿筋膜張筋は人体最長の靭帯である腸脛靭帯に移行します、これは寛骨から膝の外側までつきますが、ここがランニングなどで負担を受け続けると膝に痛みを出します(ランナー膝)。

お尻の筋肉の大殿筋や腿の裏のハムストリングと呼ばれる大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋なども姿勢に関係があるので、股関節の動きのバランスの悪さは姿勢の歪みや腰や膝の痛みにも密接な関係があるといえます。

また先ほど表で挙げた筋肉は寛骨~大腿骨につく筋肉なので、他にも寛骨から背骨、大腿骨から脛骨(すね)につく筋肉などがありますので、これらの筋肉も股関節にも関節的に作用して影響を与えていきます。

まとめ

股関節を構成する大腿骨、寛骨は背骨から近く、お互いを結んでいる筋肉が多いため股関節の動きの悪さが、腰部に与える影響はとても大きくなります、更に股関節から膝周辺に付着する筋肉もあるため膝の痛みにも影響を与えてしまいます。

トレーニングやケアもしっかりとこのつながりを意識して行う事で効果が出やすくなります。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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