トレーニングを始めたての方や、久しぶりに運動を行うと必ず起きるといっても過言ではないのが筋肉痛です。
トレーニングを長く続けている人にとってはモチベーションにもなりますが、多くの人にとって痛みは辛いものです。強い筋肉痛が起こっている最中は立ち上がる動作などの日常生活にも影響が出てしまいます。
筋肉痛は実際どういったもので、どのように対処するべきなのでしょうか。
筋肉痛の種類
筋肉痛には運動中からすぐに起こる即発性筋肉痛と、運動してから時間を置いてからくる遅発性筋肉痛(DOMS)に大別されます。
即発性筋肉痛
即発性筋肉痛は筋膜が損傷してしまったり、運動を行う際のエネルギーの反応の結果生成される水素イオンが原因で筋肉が酸性に傾くことで、疲労感や痛みの感覚が出ます。
運動中は運動してすぐ起こるもので、ランニングや水泳など有酸素運動で起こりやすいです。
遅発性筋肉痛(DOMS)
遅発性筋肉痛(DOMS)は、トレーニングや運動を行ってから12時間~24時間経ってから痛みがでてきます。こちらが一般的な筋肉痛になります。
遅発性筋肉痛が起こるメカニズムには様々な説がありますが、現在はトレーニングや運動で筋肉が微細な損傷が起き、炎症が起こり、炎症メディエーターと呼ばれる痛みや腫れを引き起こす物質が放出され筋肉痛が引き起こされるとされています。
これはトレーニングなどきつい運動を行った際に起こりやすいです。
トレーニングや運動から時間を置いて痛みが起こる事についてのメカニズムは未だ明確に解明されていないようですが、ブラジキニンという痛みを出す物質が神経成長因子NGFという物質の産生を高め、痛みの受容器を刺激するという過程があるため、時間差がうまれるとされています。
参考文献
34. 遅発性筋痛の発生機構 水村 和枝 – 上原記念生命科学財団
https://ueharazaidan.yoshida-p.net/houkokushu/Vol.23/pdf/034_report.pdf
特に筋肉痛は運動中の伸張性収縮と呼ばれる局面で起こりやすくなります。例としてはベンチプレスのゆっくりとコントロールしながら下す動作になります。
筋肉痛の予防と 回復方法
つらい筋肉痛になりづらくするように、またつらい筋肉痛をはやく回復させるように。予防と回復方法をお伝えします。
カフェイン
筋肉痛を和らげる効果のあるものとしてカフェインがあげられます。
アデノシンという物質はある種類の受容体と呼ばれる受け皿にくっつく事で痛みを誘発する作用がありますが、カフェインを摂取する事で、アデノシンが受容体にくっつく事を少なくしてくれる作用があります。
参考文献
北海道教育大学リポジトリ カフェイン摂取が遅発性筋肉痛及び筋硬度に及ぼす影響
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/7833/1/66-1-sizen-02.pdf
特にエクササイズ前に摂取する事でDOMSを抑えられるとされています。
摂取量の目安は体重1kg辺り5 mg~6mg とされコーヒー2、3杯程度になります。
BCAA
運動やトレーニングを行う人にはメジャーなサプリメントであるBCAA。
人間の体では作る事の出来ないアミノ酸を必須アミノ酸と言いますが、そのうちバリン・ロイシン・イソロイシンの含まれた物をBCAAと言います。
アミノ酸についての詳細はこちらをどうぞ
BCAAに含まれるロイシンには、筋タンパク質の合成のスイッチを入れてくれる働きや、筋肉の損傷の修復過程を促進する働きが認められているため、これらの作用から筋肉痛を緩和してくれる働きがあると考えられます。
BCAAの摂取のタイミングについては様々ありますが、トレーニングの前、トレーニング中がオススメのタイミングになります。
マッサージ・ストレッチ
トレーニングや運動後のマッサージやストレッチのDOMSに対する有効性を示す文献やデータは数多くあります。
特にDOMSを起こした筋肉には筋のスティフネス(硬さ)が起こるため、マッサージやストレッチなどのケアを行う事は筋肉の硬さを改善し、血流を促進し傷ついた筋肉に栄養を送りやすくするため、回復を早める事ができます。
入浴
先ほども述べたようにDOMSの起こっている筋肉には硬さが起こり、血行が悪くなっています。
入浴で温めてあげる事で血行を改善する事も疲労の回復につながります。
ポイントとしては比較的ぬるめのお湯(38℃~40℃)に10分~20分ほどつかるようにしましょう。
つらい筋肉痛は筋肉痛を予防する
運動を始めると筋肉痛は必ずといっていいほど起こってしまいます。特に久しぶりな運動ほど筋肉痛になってしまいます。
DOMS の大きな特徴に、Repeated bout effect(RBE)がある。この効果は、 同じ運動を数週間後に繰り返した際 に筋痛が抑制されるもので、多くの先 行研究では、1 回目に発現したDOMS (Initial-DOMS:I-DOMS)よりも、そ の 次 に 生 じ たDOMS(SubsequenceDOMS:S-DOMS)の ほ う が、 明 ら かに抑制されると報告されている (7,9)。また、2 週に 1 回のトレーニ ングを全 6 週間、合計3 回行なった先 行研究では、1 回目と比較して 2 回目 のDOMS が約 25%、3 回目では約 50 %程度減少している(9)。
NSCA JAPAN Strength and Conditioning Journal Volume 25. Number 2
遅発性筋肉痛時に更なる伸張性運動を行なうことで次に生じる遅発性筋肉痛は抑制される 山口 翔大 岡田 純一
こちらの発表からも分かるように、つらい筋肉痛から回復してから、また同じ運動を行なっても筋肉痛が軽減するとされています。
つらい筋肉痛になるともうやりたくなくなってしまいますが、体がその刺激になれているうちにまた同じ運動をする事が予防にもつながっていきます。
最初は大変ですがトレーニングも運動もしっかりと続けていく事が、筋肉痛にならないとても大切な事です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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